活動の現場

ニュース131号

廣岡 伸隆 さん

「総合診療内科」の役割について教えて下さい。

「総合診療内科」の役割について教えて下さい。

医学の発展と細分化は、切っても切れない関係にあります。医療が細分化することで分かってきた病気の本質や新たな治療方法が多くの患者様に役立っています。一方で、医療全体が、臓器や組織など部分的なものを対象とすることに偏りすぎる弊害も生まれました。
 総合診療科や総合内科といった科は、このような偏りすぎた医療を改善するためにあると考えるとわかりやすいと思います。患者様や地域住民の皆様が、特定の臓器や病気だけでなく幅広い領域の診察を受けられ、健康の相談にも乗ってくれるような存在でありながら、さらに進んだ医療を取り入れた医師を目指しています。幅の広さには病気の予防も含みます。そして、細分化の恩恵にもあずかれるように、他の専門医とも協力して医療を進めて行きます。
 患者様が診療の中心にいる中で幅の広い診療を進めるので、生活や人生、その家族とも関わることのできる非常にやりがいのある医療分野だと感じています。大学に勤務していますが、近隣の医療機関とも協力し退院した患者様を訪問して生活の場での診療も心掛けています。また、幅の広い予防医療にも長けた総合診療を専門にする医師を育てる制度が、今年から正式にスタートします。大学病院に勤務する医師として、このような専門医を育てることも進めていきたいと思っています。

健康管理士の資格に興味を持ったきっかけや理由を教えて下さい。

健康管理士の資格に興味を持ったきっかけや理由を教えて下さい。

総合診療は、地域住民の生活の場に近いプライマリ・ケアを専門にしています。プライマリ・ケア医として本人だけでなくその家族も診る、そして病気を医学だけでなく、社会的・心理学的な観点からも眺め治療に役立てる家庭医療という研修をアメリカで受けたのち、実践してきました。そこでは、予防医療も家庭医の大きな役割の1つです。そして、健康増進や予防医療を、医療現場という狭い範囲でなく、地域の一員として考えたいとの思いでいたところ、健康管理士資格に巡り合いました。
 医師として普段の診療でも、生活習慣介入などを病気の治療に活用していまが、予防という観点から、健康管理士の資格の勉強は非常に役立つと感じています。
 個人で、この知識を身に付け、実践応用すると健康増進に大きな効果が得られると確信しています。少し難しい内容もテキストにはありますが、時間をかけて学習したことを実践できると良いと思います。全国民がこの内容を知り病気の予防や健康の維持促進に良い影響を与えることが理想です。資格を取得された方は、個人を超えて家族、仲間、職場、そして地域と、得た知識や経験を活用する場を積極的に求めるとことを、健康に関係する職業人として期待します。少しの知識伝達やきっかけ・動機付けでも、それが全国津々浦々で浸透すると、ものすごい大きな効果を生むと思います。
 私も、昨年の夏からテキストを勉強し、添削を受け、10月の健康管理士資格試験を受験して資格を取得いたしました。健康管理士として、国民の皆様1人でも多くの人が、生活の中で健康の維持向上ができる後押しができればと思っています。また、医療現場で予防医療を教育する者として、健康管理士の皆様の活躍場所が増えるよう、医師の教育でも積極的に健康管理士の資格や存在をアピールし、一緒に健康な世の中を目指せるようになりたいと思います。そして、協会にも医療従事者として貢献できることがあればさせて頂きたいと思っています。皆様、一緒に楽楽しく活動の輪を広げましょう!

「予防医療」の普及や発展に向けて、今後どのようなことが必要でしょうか。また、健康管理士に求められることは何でしょうか。

「予防医療」の普及や発展に向けて、今後どのようなことが必要でしょうか。また、健康管理士に求められることは何でしょうか。

予防医療には、課題がいくつかあると感じています。1つ目に制度です。病院や診療所で行う診療は、病気の診断や治療を目的としています。つまり、病気になってからのことが中心です。それを公の財政でサポートしているわけです。いわゆる保険診療と呼ばれるものです。しかし、予防となると健康診断など早期発見を目的とする検査や病気が起きないよう生活習慣を見直し改善策することが必要ですが、医療機関での保険診療の範囲を超えてしまうことがあります。かかりつけ医の先生がいても、この予防医療にかかわる機会は限られてしまっています。医療と健診などの予防分野とが断絶しやすいのが現状です。
 2つ目に医療側の問題です。多くの医師は、細分化された専門医を目指し予防医療を包括的に管理するトレーニングを受けません。例えば、かかりつけ医の専門が消化器であれば大腸がんの早期発見には積極的でも骨粗しょう症や転倒予防といった他の予防医療に消極的なことが起きます。医療の側でも、包括的な予防医療と積極的な健診等の活用が進むよう、総合診療を通じた努力が重要と思います。
 3つ目は患者様や市民側の課題です。健診やかかりつけ医・健康管理士の活用など予防医療の機会を知らなかったり、知っていても実行しない場合が多くみられます。改善には医療側の努力も必要ですし、健康は自分で守るという視点も大切で、健康管理士はそのことを伝えることができます。そして、具体的にどのように健康を守っていくかを伝えると、現実的な対応につながります。この患者様や市民の皆様への啓蒙は大きく期待されます。 直ぐに、制度が変わるのが難しくても、医療と健康管理士による活動とで予防医療の前進に貢献できたらと思います。

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インタビュー

健康管理士としてご活躍中の方に、資格に興味を持ったきっかけや通信講座での勉強方法、現在、どのように資格を活かしているか等を実際にインタビューさせていただいた内容をまとめてあります。

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健康管理士の方に2ヵ月に1回偶数月の末にお送りしている「健康管理士ニュース」に掲載されている「活動の現場(健康管理士インタビュー)」のバックナンバーです。

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