実は、平成24年6月までは印刷会社の営業をやっていましたが、6月に還暦を迎え、無事定年を迎えました。定年の半年前くらいから定年後は雇用延長でそのまま会社に勤めることができたのですが、60歳前後でベンチャー企業を立ち上げたある社長さんから、「現役時代は生活や家族のために働き、定年後は自分のやりたかった仕事や社会に役立つ仕事を見つけることが出来たら、サラリーマンの理想だ」というようなアドバイスを頂き、その理想に向かってチャレンジしてみようと考えるに至りました。それで、当時は腹囲約100Cmのメタボで、尚且つ腰痛で苦しんでいたこともあって、自分自身のセルフケアと、健康に関連した仕事を通じて少しでも社会に役立つお手伝いをしようという決心をし、健康管理士一般指導員の資格を取得しました。また、たくさんある健康関連の資格の中で、なぜ健康管理士一般指導員の資格を取ろうと思ったのかについては、健康や保健について、包括的に体系立てて、一から勉強をしたかったからです。

健康というテーマは本当に範囲が広く、身体的・生理学的な知識、ストレス、社会の法律や制度、食事に関する栄養素、介護等々と習得すべき知識がたくさん有ります。また、個々のジャンルについても範囲が広く、通信教育の期間中は本当に辛いと感じました。特に辛かったのは、医学的な専門用語や栄養素、ホルモン等の名前が覚えられなかったことでした。60歳を超えての勉強ですから、一度や二度読むだけでは、まず暗記はできません。何度も紙に書いて覚えようとしましたが、その単語が目に見える品物や物質ではないので、いくら覚えてもすぐに忘れてしまいます。しかし、単語を覚えることに固執せず、身体の仕組みや代謝の原理を理解しようと開き直ってからは、幾分気が楽になり勉強を続けることができました。

現在私は、医療費分析や保健事業、ヘルスケア事業等を運営している或る会社とコンサルタント契約を結び、仕事をしています。私の仕事は、関西の市町村国保や後期高齢者医療広域連合のレセプトや健診結果データの分析を行い、その分析結果に基づく医療費適正化や介入者の抽出による保健指導事業の提案等を日々に行っています。ほとんどのケースが、プロポーザルによる提案競争で、毎日が健康づくしの日々です。最近の案件では、レセプトデータと健診結果データの複合分析に加え、介護レセプトも含めた複合分析など、より包括的に分析が求められたり、市町全体の分析だけではなく、各地区毎の分析が求められており、保健事業の施策提案もより広範囲に及ぶ内容であったり、ニーズの高度化・多様化を強く感じています。このような状況の中で、健康管理士一般指導員資格取得のための広範囲な勉強が、たいへん役立っています。

私は資格取得後、すぐに大阪府健康管理士会に入会して勉強を続けています。この会には、様々な資格を持った方や、様々な仕事に従事している方が入会しており、そのような多様な方々から、多くのことを学べるのが最大の楽しみです。また、定期的に「ほすぴ」の内容についてみんなで話し合ったり、セミナーや能力開発講座なども誘いあって参加しています。60歳も超えると、一人ではなかなかできない勉強や活動も、みんなでやれば楽しく続けることができると実感しています。また、仕事の上でも、医療費分析などのドライな仕事をしていると、専門職の方々が御苦労されている人と人との対面指導などのウェットな現場の感覚が、なかなか理解できないのですが、食育の活動などを通じて、その現場感覚を自分なりに理解することにも、非常に役立っていると思っています。